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2012.07.0216:45

◎超能力者・芥川龍之介◎

僕が花に興味を抱くようになったのは・・


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超人・芥川龍之介



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「大正12年8月、僕は一游亭と鎌倉へ行き、平野屋別荘の客となった。僕らの座敷の軒先はずっと藤棚になっている。そのまた藤棚の葉の間にはちらほらと紫の花が見えた。8月の藤の花は年代記ものである。


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そればかりではない。後架(手洗)の窓から裏庭を見ると、八重の山吹も花をつけている。


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そのうえ、また珍しいことに小町園の庭の池に菖蒲、蓮と咲き競っている。藤、山吹、菖蒲と数えてくると、どうもこれはただごとではない。“自然”に発狂の気味のあるのは疑いがたい事実である。僕は爾来人の顔さえ見れば『天変地異が起こりそうだ』といった。しかし誰も真に受けない。久米正雄の如きはにやにやしながら大いに僕を嘲弄したものである。・・・

 
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僕らが東京に帰ったのは8月25日である。大地震はそれから8日目に起こった。






そして震災後・・
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大正十二年の地震の数日後に、私は今東光君と田端の芥川氏のお宅へ見舞ひに行つた。
(中略)芥川氏と今君と私とは、多分芥川氏が云ひ出されたやうに思ふが、吉原の池へ死骸を見に行つた。

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芥川氏は細かい棒縞の浴衣を着て、ヘルメツト帽を冠 つてゐられた。あの痩身細面にヘルメツト帽だから少しも似合はず、毒きのこのやうに帽子が大きく見え、それに例のひよいひよいと飛び上るやうな大股に体を 振つて昂然と歩かれるのだから、どうしたつて一癖ありげな悪漢にしか見えなかつた。荒れ果てた焼跡、電線の焼け落ちた道路、亡命者のやうに汚く疲れた罹災 者の群、その間を芥川氏は駿馬の快活さで飛ぶやうに歩くのだつた。私は氏の唯一人颯爽とした姿を少しばかり憎んだ。そして、自警団か警官がその怪しげな風 態を見咎めれば面白いにと、ひそかに期待しながら、足の早い氏にとつとつ附いて行つた。


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吉原遊廓の池は見た者だけが信じる恐ろしい「地獄絵」であつた。幾十幾百の男女を泥釜で煮殺したと思へばいい。赤い布が泥水にまみれ、岸に乱れ着いてゐ るのは、遊女達の死骸が多いからであつた。岸には香煙が立ち昇つてゐた。芥川氏はハンケチで鼻を抑へて立つてゐられた。何か云はれたが、忘れてしまつた。 しかしそれは、忘れてしまつた程に、皮肉交りの快活な言葉ではなかつたらうかと思ふ。
吉原で芥川氏は一人の巡査を捕へて、帰り路十町余りも肩を並べて歩きながら、いろいろ震災の話を引つぱり出さうとしてゐられた。おとなしい巡査はそれに一々答へてゐた。こんな風な一個市井の物好きらしく巡査と歩く芥川氏も、私には少々意外であつた。
生前の芥川氏に余り親むこともなく過ぎた私には、故人を思ふと、その日のヘルメツト帽であたりかまはず颯爽と歩いてゐられる姿が第一に浮んで来る。その頃はまだ死を思はぬ快活さであつた。
川端康成「芥川龍之介氏と吉原」 昭和4年1月


・・とまあこう言う理由で、以来常に花を監視しています。
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